【完】約束=願い事
「プレゼント…?」
「そう、『プレゼント』だ」
……??
裏門にもたれ掛かって座っていた照の手がわたしに伸びて
ゆっくりと優しく撫でられる髪の毛。
肩甲骨まで流れる真っ直ぐな黒い髪。
外見で唯一自慢出来るその髪を
彼が大切なものを触る様にすいてくれる。
それは妹想いの兄があやす仕種。
そんな風に思えた。
それでもゆっくりすかれる手の感覚がとても気持ち良くて目を閉じたら、
錯覚かな。
驚くくらい近くで照の声が聞こえた。
「夢瞳はこんなに良い子なのに
こんなに頭が良い賢い女の子なのに…」
どうしてか悲しげに、心配するような声で彼が続ける。
「人に壁を作って誰も受け入れようとしないみたいだ」
「……」
「だからプレゼントしようと思った。
君に『友達』をね」
「友達?」
「正確には『友達をつくるきっかけだ』」