【完】約束=願い事

「彼女はもう夢瞳に悪い感情は何一つ持っていないよ」


すぐ耳の横から聞こえる心地良い声。



きっとそれは本当だろう。



思い出す、扉を閉める時の碧。

彼女はこれまで
あんな顔でわたしを見たことなんてなかった。

ありがとう、なんて言われたこともなかった。



「じゃあ真田さんは?」


「彼は最初から俺の協力者だからね」


全く呆れる。

今わたしの横で楽しそうに笑う、謎に包まれた彼は

わたしに黙って、わたしに隠して、わたしの為にそんなことを。


どんな魔法を使ったんだろう?


「どうやって――」

「ストップ」

疑問を紡ぎ出す開いた唇は
照の制止の言葉に固まった。


「種明かしはしないよ。
それは君がこれから彼女と友達になれてから聞き出す任務だからね」



それがオレからの誕生日プレゼントだよ。

手を止めた照がささやいた。



目を開けたわたしの瞳には、
予想を裏切らない近さの、透き通る眼差しが映った。








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