【完】約束=願い事
どうしてわたしが、
世界が違うセレブな社長と会っているかというと…
手を怪我したあの日――
碧に嵌められて施設を抜け出した日に遡る。
崇佑と別れて戻ったわたしは、
施設長に意外な話をされた。
未成年後見人として、
わたしに会いたいと言ってきた人がいる。
という話。
つまり、わたしを施設から引き取って、育てたいっていう人がいるらしい。
施設長からの話だと、
彼は大手企業グループの一角を担う社長で、
施設にも多額の寄付を行う資産家だという。
あることでわたしを知った彼は是非わたしを引き取りたい。
と言ってきた。
というのだ。
現時点では怪しすぎる気がするけど、
施設側の強い勧めがあった。
彼らにとっては、
資産家と関係を持てるチャンスだから、とにかくも会わせようということなのだろう。
『早くこんな施設を出たい』
5年間いつも思っていた。
軽い気持ちで
一度会うくらい良いかと思えたし、
『御木本晃一』
彼の意図が気になる。
悩む時間もわずかに、
彼に会うことを決めた。
そんな経緯でわたしはここに居る。