【完】約束=願い事
「早速ですが山城さん」
対面の後すぐに、御木本は施設長へと目を移した。
初老の彼は、慣れない雰囲気をどこか我慢している様な、
そんな感じ。
「何でしょう?」
「彼女と二人で話をさせて頂きたい。
よろしければお帰りください。
夜までには責任を持ってお送り致しましょう」
丁寧な対応。
だけど有無をいわさぬ流れに、
さすが企業の社長だと感じる。
一方施設長に断る理由もないため、
さっさと帰る彼。
「……」
帰んの?
責任とか無いの?
去っていく後ろ姿に疑問が芽生えた。
期待なんてしてなかったし、居ても邪魔だけど、
あっさり引く施設長に呆れて言葉も出なかった。