【完】約束=願い事
「順を追って話そう。
圭織さんのお父様――つまり夢瞳さん、君から見たお祖父様だね。
彼はとても猜疑心と独裁心が強い厳格な方だった。
圭織さんと彼女の姉の理央(リオ)さんは、彼の敷いたレールの上を歩く様に育てられたそうだ。
でも、圭織さんは君のお父様と出会ってしまった。
どういう経緯か分からないが、駆け落ちみたいに出て行ってしまって、
勘当されて籍まで抜かれ、世間的に亡くなった様な扱いをされてしまった。
普通に調べた様では、
圭織さんとご家族の関係性は見出だせない程の徹底ぶりだ」
「………」
「圭織さんのお母様――君のお婆様は、お身体が弱くて、
間もなくお亡くなりになった。
お姉様の理央さんは、それまで以上に厳格になったお祖父様の下で育てられ、
圭織さんに対してあまり良い感情をお持ちではない、とのことだった」
だから、なんだ。
わたしが施設にいる理由。
お父さんは元々、天涯孤独だといつも言っていた。
お母さんに、そんな事情があったなんて
簡単には信じられない話だけど、きっと本当のことなんだろう。