【完】約束=願い事

もちろん、
今までの人生でわたしだって気にならないわけはなかった。

だから一度調べたことがあった。


結果、父も母も、両親・祖父母共に死去。他に家族は無し。

という報告書が手元に着た。



わたしが調べたことなんてたかが知れていたのね。

想像以上に複雑な生い立ちじゃん、わたし。



「今、祖父は?」


「ご存命だ。
君の叔母様の理央さんも」


「そう…ですか…」


なんて答えたら良いか分からなくて、曖昧な返事をする。



彼が嘘を吐く理由が思い付かない。
だからわたしは今の話、本当だと思う。



思う、ことにした。




「夢瞳さんは会いたいの?」


「祖父にですか?
会いたい、と言えば会わせてくださるんですか?」


「努力は、しよう」


「…今の段階では急過ぎて、
正直、答え兼ねます」


わたしの嘘のない気持ち。

本当に、なんて答えたら良いのか分からない。



静まり返る部屋に、
そうだろうね。
と彼が呟いたのがやけに大きく聞こえた。





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