【完】約束=願い事

「本日は、お返事をなさりに来た。
ということですね?」


「はい」

何故か沈む気持ちで、わたしは頷く。


そんなわたしに気付いたのか、真田さんは何か言いたそうに口を開いた。


少し躊躇って、
でも結局、彼は何かを意見することはなかった。


「…では、ご案内致します」



心に決めて向かう御木本晃一の部屋。


真田さんについて歩く御木本邸。

外装の見た目通りに広い。

昨日は玄関近くの応接間に案内されたけど、今日は2階にある御木本晃一の書斎を直接訪ねるから、一層感じられた。



静かな緊迫感に支配される、わたしの心臓。



でもそれよりも。

向かう間の階段を上る時、角を曲がる度、
同じ家に住んでいる照とすれ違ったりしないかとか、
そんなことばっかりが頭に浮かんだ。






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