【完】約束=願い事
センスの良い、木材のドアを目にした途端、ふいに聞こえてきた話し声。
「お前には済まないことをさせたな…」
「それは父さんのせいじゃないだろ?
これは、オレも興味本意だったし、一番適任だったんだ」
「それは本当に本心なのか?」
「本心さ。
学ぶことも多かった」
揺るぎない声。
愛しい、と思う声。
それから、御木本晃一の声。
何の話?
わたしは真田さんが居ることも忘れて、扉から漏れる話に食いついた。
「本当に、だな?」
「…ははっ
しつこいよ、父さん」
「わたしは心配してるんだ。
お前はいつも、わたしや崇佑に甘えたことがない」
「そんなことないさ。
小さい時にオレを引き取ってくれて、
それからずっと何不自由なく育ててくれて本当に感謝しているんだ」