【完】約束=願い事
「照、わたしはお前の本当の父親だ。
いつもそう思っている」
「分かってるよ、父さん。オレも本当の家族…いや、それ以上に思っているよ」
聞いてしまった照の複雑な環境。
驚きと同時に感じる罪悪感。
こんな形で立ち聞きをしてしまった手前、
このまま話に行くことが出来なくなってしまった。
ここに真田さんが居ることも気まずい。
どういうつもりで、話が聞こえるこの場から遠ざけようとしなかったのかが不思議だけど、
相変わらずのポーカーフェイスと柔らかな物腰が変わらない。
「夢瞳様、せっかく来て頂きましたが、本日はお話するのは難しいでしょう。
また改めてお迎えにあがります。
それまで、再度お考えください」
「…分かりました」
素直に頷くしかできなかった。
真田さんは、
わたしが断ることを見透かしていたんだろうな。
まさか…この話もわざと聞かせた…?