【完】約束=願い事
施設には施設長以下、指導者、嘱託医、保育士、そして調理員、と呼ばれる職員がいる。
入所者30人強に対して人数が足りないのは火を見るより明らかで、
最低基準に達していないのが実情だ。
その状況下で多くの問題児の世話を見切れるはずは無いし、
実際、
本当に親身に見る気が更々ないのも明らかに分かる。
職員全員の目が、子供たちを見る時、
蔑みが多く含まれている。
小さい子供でも明白に感じていることだろう。
そんな環境で、
心の傷は癒えるどころか化膿が進み、
施設内では問題ばかりが起こる悪循環。
次第に、
わたしたちは大人に頼ることなく、
年長者が年少者の面倒を見る習慣が確立された。
大人なんて信用ならない。
だから、
どんなに悪いことをしても
どんな問題を起こしても、
年長者同士のつまらない対立や、いざこざがあっても、
施設の年長者は10歳以下の
庇護を必要とする子供を守ろうとする。
施設は世間から隔離された、
ひとつの村のみたいなものだ
と思っている。