【完】約束=願い事
その少年
21時の消灯を過ぎてから、
いつもの様に窓から飛び降りる。
初めは苦戦していた着地も楽にこなして、
持っていたミュールを履く。
金曜日の夜はカップルとか
朝まで遊ぶ大学生や若い人たちが多いから
繁華街を少し外れたところに行こぅかな。
そんなことを思いながら、重たい門を開ける。
――ギイィ…
微かな音が鳴った。
「…誰かいる?」
ふいに聞こえてきたのは暗闇の先。
明かりが少なく、街灯が届かないここは、
目が慣れるまでは、真っ暗に近い。
「誰っ?!」
反射的に身構えると、
砂音まじりの足音が近づいて来た。