【完】約束=願い事
2年になった4月の中旬頃。
俺は懲りずにまたトラブルに巻き込まれていた。
お淑やかそうなお嬢さんの少女。
高校自体人数が多い上に、コース毎にクラスが違うから見かけたこともない子だったのに。
最初は軽く交わすくらいだった挨拶も、徐々に増えていった。
いつの間にかクラスによく来るようになったその子を、ダチが気に入ってしまった。
『遊びにいこうよ』
そうよく言っていた彼女を俺は誘った。
仲良いダチに頼まれたら断れないしな。
てことで、4人で遊びに行くことになった。
ベタにカラオケ。
考えていたより結構楽しくて、俺たちは歌い終わると笑いながらカラオケを後にした。
しばらくしてそろそろ帰ろうかという時、『もう少し遊びたい』と彼女が言った。
それ程遅くないし、どうしようか迷ってたんだ。
すると、その彼女の顔が一瞬強ばった。
『え?』
って思うより早く、俺は殴られていた。
『崇佑くん?!』
ダチにも、もうひとりの女の子にも目もくれずに明らかに俺を狙っていたその拳は、さらに向かってきた。
なんだか分からずに周りを見ると、ガラの良くなさそうな男たちが数人。
『――さん!止めてください!』
彼女が最初に殴ってきた男を止める。
はっきり聞こえなかったけど、名前を呼ぶ姿は明らかに知り合い。
あぁまたか。
思いつつ、
『叶斗(カナト)!その子連れて逃げてくれ!』
ダチに叫んで、怯えてるもう一人の女の子を押し付けた。
そして敢えて男たちに突っ込んで、すり抜けながら逃げ出した。
その間に何度か入れられたけど、痛みは無視して走る。