【完】約束=願い事

夢瞳さんが暮らす施設の前。


行かせてしまうと、消えてしまう様に思う道路と施設のライン。



【行かないでくれ】


なんて言えない。



だけど、


「ありがとう。ここで良いわ」


そう言う夢瞳さんに、俺は最後に言った。



「俺、夢瞳さんが好きだって言ったこと。
嘘じゃないから。
何も知らないのにって思うと思うよ。
でも知りたくなったんだ、夢瞳さんのことがもっと」




いろんな子と付き合ったりしたけど、こんな告白、初めてした。

ていうか初めて告白をした。


少し暗い格好つけたいのにうまくいってくれない。



「でも例え、俺を好きにならなくても、俺の家に来てよ。
父さんは何がなんでも夢瞳さんの将来に全面的に協力するよ。
きっと家を好きになってくれると思う。
家を好きだと思うって大事だよ」



彼女は、ちゃんとしっかり受け止めてくれる様に、俺の言葉を聞いてくれる。



「だからさ。
気の利いたことなんて言えないけど、良い返事待ってるから。
何よりも夢瞳さんにとってを考えて」



頷いてくれた。


単純だから信じるよ、俺。



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