【完】約束=願い事
その想い ~碧~
夏休みが始まって一週間。
私は相変わらず大和と過ごしている。
ただ、これまでの関係とは違っていた。
はっきり彼氏と彼女っていう関係。
10年間、兄妹みたいに過ごしていたのに、
違和感は少なく、案外お互いがすんなり受け入れることが出来た。
実は、今の私たちがあるのは、間接的にだけど夢瞳のお陰でもあったりする。
だから、感謝してるんだ。
施設に入って10年間、ずっと嫌いだったあの子に、
こんな感情が生まれるなんて正直に驚く。
友達になれるだろうと思う。
こんな気持ち、こんなに簡単に手に入るなんて知らなかった。
何事にも結構フランクな私も、案外堅物だったのかも……?
暑くて熱い午後――
もう秋だというのに、こんな風に太陽が眩しく照らす日に、初めて夢瞳に会ったんだっけ?
私は、私のベッドを占拠して眠る少年の手から、数学の参考書をそっと取り上げて置いた。
そのままツンツンに固めている金髪に近い茶色の頭に手を乗せる。
窓から目に入る空は、
あの日みたいに青くて、あの日とは違う蝉が飛んでいた。