【完】約束=願い事

そして16歳の夏。



一度は落ち着いたと思った大和と夢瞳の関係が、また復活するんじゃないかって、夢瞳と話した食堂で感じた…






だから悠生たちに、夢瞳をビビらせてって頼んだの。


夢瞳を連れ出して、悠生たち3人が待機するプレイルームに閉じ込めた。


でも成り行きを部屋の外で聞いていた私は、愕然とする。





悠生たちは、本気で夢瞳を抱くつもり…?


私はちょっとビビらせて、大和に近づこうなんて思わない様にさせようと思っただけなのに。





みんないつも私の前では世間で言われるような悪い行動を起こすことはしなかったから……

だからびっくりした。




そしたら、プレイルームのガラスが割れる音と一緒に、夢瞳の逃げ出す姿が見えた。


矛盾してると思う。

けどホッとした。




犯罪者にならずに済んだ様な心境で、割れた窓からプレイルームに入ると、
ほとんど全裸に近い半裸の3人が目に入って、一気に気持ちが冷めた。




『…とにかく逃げましょ』


『…なんか話と違うな。
夢瞳逃げたじゃん』


私に近づきながら、悠生が意味不明なことを言う。


『何言って――』


『碧、責任とって俺らの相手する?』


『……は?』


『おい、止めろ悠生!
大和に殺られんぞ』


旭(アキラ)の制止の声。



私はその会話で初めて知った。


私の前では大人しくて良い子だったみんな。

本当は大和を恐れて静かにしていただけだったのね…






結局もたもたしていた私たち4人は、逃げ遅れて職員に見つかり、こってり絞られた。






< 197 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop