【完】約束=願い事
その事件以来、なんだかいろんなことに矛盾を感じる様になった。
相変わらず、大和が居る時の私の前では男子たちはみんな大人しくしている。
モヤモヤする日々の中、学校帰りにある人に出会った。
短縮授業の為に一番暑いお昼過ぎの道。
明らかにおかしい見た目のその人は、テレビにも出るほど有名なグループ会社、御木本晃一の秘書だと名乗った。
その御木本家に夢瞳が引き取られるという。
何人かで見張っているから、夢瞳に危害を加えるなという警告。
思わず挙動不審に周りを見る私。
それと同時に怪し過ぎて警戒する私の手を取り、名刺を渡す彼。
真田恒輝。
社長秘書。
写真とは明らかに違う見た目に戸惑っていると、理由があって変装しているのだと言う。
昨日夢瞳と照が言っていた変質者の話。
もっともらしい話をして騙そうとしているのかもしれない。
そう思ったわたしは、隙を見て逃げ出した。