【完】約束=願い事

施設という場所は
子供たちの家と言えば聞こえは良いが、
常に監視の目が光る収容所だ。


わたしはそう考えている。


内情は
管理者の立場の職員でさえ、性的を含む虐待を繰り返す上、
少年少女同士の争い、問題なんて日常茶飯事な程ひどく荒れている。

さらには
刑事事件になるほどのことだって実例は何度もある。



問題を楽しむ者もいるが
わたしはもぅそんなことには巻き込まれたくはない。



気持ちとは逆に
荒れ具合は年々増してきているけど…







あまり目立つことや行動を控え、
周囲に溶け込むのが一番だ。


この村に暮らすということは、そういうこと。









照は、この何日かで
ひどく傷ついた少女や、
元気がない幼い女の子を見てきたからだろう。

わたしの服装やメイク
行動に驚いているんだ。

何をするかなんて一目瞭然だけど
聞かずにはいられなかったんだろうな。







はぁぁ。




自然とため息が出る。


わざわざ駅から遠い、使われていない裏門を通っていたのに。


目撃されるなんて
失敗すぎる。

わたしは苦虫を噛み潰す思いで状況を受け止めるしかなかった。





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