【完】約束=願い事
目的の人物は、間もなく見つかった。
照…
微笑む彼は、確かにどこか遠くの人みたいに感じた。
彼に聞いた。
確かに彼が御木本晃一の息子の御木本照で、
真田恒輝は秘書で、
夢瞳は御木本晃一が後見人になり、引き取られるだろうということ。
照の弟が夢瞳を気に入ったことからいろいろ始まったこと。
でも夢瞳はまだ何ひとつ真相を知らないこと。
それから、意外なことまで照は教えてくれた。
大和たちのこと。
照は、男子部屋の階で大和と誰かが言い合っているのを聞いたらしい。
『夢瞳が誰にでも抱かれるっていうのは嘘か?』
『嘘じゃねーよ。
俺は何回も抱いたからな』
『じゃあなんで前は逃げたんだ。
そんな話初めて聞いたぜ』
『知らねーよ、俺は抵抗させる前に無理矢理したからな。
みんなそうだろ。
それかお前嫌われてんじゃねぇ?』
『なんだよそれ。
じゃあ一回くらい碧を抱かせろよ』
『なん…だと?』
その後、ふたりは殴りあいを始めたらしい。
たぶん相手は悠生。
ここ最近の違和感は当たっていた。
わたしが嫌いだった夢瞳は本当は被害者…。
馬鹿だったのは大和と他の男子たち。
無理矢理、抱いた。
夢瞳は魔性の女なんかじゃなくて、大和たちが女を弄ぶ最低男……
嫉妬で見えなかった。
馬鹿なのは私だった。
ごめん。
ごめん、夢瞳。
私…誤解してあんたに酷いこといっぱいしたね…
青くなる私に照が言った。
『夢瞳のこと、悪く思わないであげてほしいんだ。
頭が良くて、頑張る子だけど、人付き合いはビックリするくらい下手なんだよ』
『……うん』
泣きそうな思いで頷いた。
でも、それでも今も、変わらず大和が好きだよ。
嫌うなんて無理だよ。