【完】約束=願い事
わたしたち二人は、
田舎のコヤンキーみたいに砂の地面に直接座っていた。
立ち上がって砂のほこりを落とすわたし。
歩き出そうとすると、
下から手を引っ張られた。
「今から行くの?」
照がつぶやく。
外に、という意味かな。
「行かない。
もぅ10時半だもん。このまま出たらさすがに12時に帰ってくるのは無理でしょ」
「そうだね。
良かった。
オレは君の犯罪を阻止できたわけだ」
まるでゲームをクリア出来たかの様な満足げな顔に、
笑いが込み上げた。
「何を言ってるの?
あなたわたしの保護者のつもり?」
笑うわたし。
認めるのは悔しいけど、
なんだか楽しかった。
何気無いやり取りが。
近い年齢の誰かとこんな風に話すのが。
まだわたしの中に、
こんな気持ちが潜んでいたなんて驚いた。
久しぶりに、
誰かと接することも悪くないとさえ思えた。
この時までは。