【完】約束=願い事

わたしたち二人は、
田舎のコヤンキーみたいに砂の地面に直接座っていた。

立ち上がって砂のほこりを落とすわたし。


歩き出そうとすると、
下から手を引っ張られた。

「今から行くの?」

照がつぶやく。


外に、という意味かな。



「行かない。
もぅ10時半だもん。このまま出たらさすがに12時に帰ってくるのは無理でしょ」


「そうだね。
良かった。
オレは君の犯罪を阻止できたわけだ」

まるでゲームをクリア出来たかの様な満足げな顔に、
笑いが込み上げた。


「何を言ってるの?
あなたわたしの保護者のつもり?」


笑うわたし。

認めるのは悔しいけど、
なんだか楽しかった。


何気無いやり取りが。

近い年齢の誰かとこんな風に話すのが。


まだわたしの中に、
こんな気持ちが潜んでいたなんて驚いた。


久しぶりに、
誰かと接することも悪くないとさえ思えた。





この時までは。





< 23 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop