【完】約束=願い事
父の虚ろな瞳に光が戻った。
震えるわたしを見下ろす。
乱れた衣服をかき分けるわたしを。
氷点下の目。
振り上げられる手がスローモーションに映った。
さっきよりも鋭い恐怖を感じて、
閉じてしまいたい目は逆に閉じることを拒否したみたいに、
目の前の父の右手を凝視する。
鋭い衝撃。
たった一度降り下ろされたその衝撃で、
小さな身体は数歩離れた後方に飛ばされる様に倒れた。
まるで玩具のガラクタみたいに跳ねた。
そして、肌を貫く衝撃は次々に襲う。
身体を丸めて、
頭を抱えて耐えることにした。
一時も引くことがなく頬を流れる涙。
身体よりも心が悲鳴をあげて、傷を作る。
冷たい瞳。
汚いものを見るみたいだった……