【完】約束=願い事
3
その再会
1ヶ月前までよく来ていた
歩いて15分程の、施設からそう遠くない公園。
駅と反対方向の閑静な住宅が並ぶ近くのそこは
広くて綺麗で緑が多くて気に入っていた。
夜でもいつもまばらに人が居るのに、
雨のせいか
人の姿が見えない。
わたしは誰に気を遣うこともなくベンチに腰を下ろした。
落ち着くと
右手がひどく痛むことに気付く。
破片は刺さっていないけど、
血で真っ赤に染まっていた。
痛そうな傷口の血を
着ていた服でぬぐう。
「痛っ」
思わず声が出るくらいに痛かった。
「ねぇ大丈夫?」
声に見上げると
濡れたタオルを差し出す少年がいた。
「…?」
タオル使って良いの?
「あ。
ありがと…」
有り難く受け取って手に当てた。
そこだけ熱を持っていた手の甲が一気に冷めて気持ち良い。
少年は黙って横に座って、傘に入れてくれた。
なんか
わたしを見つめてる…?