【完】約束=願い事

4月の中旬頃


まだ肌寒い夜。

わたしはホテル帰りに、この公園に来ていた。

車で送られる時はいつもこの公園の前で降りる。


23時くらいだったかな。


冬だから人は少ない。


見回りまでまだ時間があったから
少し身体を冷やしたくて立ち寄った。

風に当たって体温が冷めていくと
少しだけ身体は綺麗になった様に感じれたから。



「わっ?!」


暗闇と浮かぶ月を見上げて歩いていたら何かに足を捕られてこけそうになった。



誰よ。こんなところにゴミ捨てんのは?



そう思って見ると、
落ちていたのはゴミじゃなくて人間だった。

仰向けに倒れている、今横で傘を挿す少年。



口の端から血が流れてて、右頬が腫れていた。

お腹にも怪我してるのか、左手で押さえている。


気を失っていたのか意識はあったのか、
わたしが蹴ったことにより呻きだした。


「ねぇ、大丈夫?」

手を差し伸べると案外あっさり立ち上がった。



なんだ。結構大丈夫そうじゃん。



安心したわたしは
とりあえず休むように言って帰ろうと思った。





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