【完】約束=願い事
街灯が行き届かない、薄暗く浮かび上がる門をゆっくり開ける。
急いで通りたいけど、
錆びていてすごい音が鳴るから、
ゆっくりゆっくり、
絶対にアイツらに気付かれない様に。
しっかり門を閉めると、
慣れた手つきで壁伝いに2階の窓に手を掛けて、
素早く部屋に入る。
まるで泥棒みたいだけど違うわよ?
入ったのは5年間住んでいる、見慣れた簡素な自分の部屋。
電気も付けずに靴をこっそりベッドの下に押し込んで、
手早くパジャマに着替える。
ベッドに潜り込んで息を整えていると…
来た。
深夜0時の見回り。
ノックもせずに開かれるドア。
『プライバシーの侵害』
なんて言葉はここには存在しない。
うんざりするけど、
反抗して目をつけられても大変だし面倒なの。
今時小学生でも日付が変わっても起きてる時代なのに、
ここではそんな排他的な風習が続いてるわけ。
とにかく、
気付かれることなく事なきを終えて
ほっとする。
今日は本当にギリギリセーフだった。