【完】約束=願い事

4日目

木曜日の夜――


真田さんは2階にある彼女の部屋を昨日と同じ場所から見つめていた。





今日は昨日の延長戦。


『昼でも夜でも貴女を見ています』

というアピール。



今夜もわたしと照は
彼を見るだけの役に徹している。


場所は
わたしの部屋。

碧と目線が同じ場所。





しばらく静かに見ていると
碧の部屋の窓が薄く開く音が聞こえた。


昨日施設の場所まで突き止めて
来ていたストーカーを確認する為だろうか?



ひどく警戒しているのか、さらに窓を開く音はせずに極力薄くしか開いていない様だ。



しかしさすがの真田さん。

その少ないタイミングを見計らって
ペンライトの様なもので碧の窓の隙間を素早く照らした。



淡いペンライトの青い光が真田さんの薄い笑顔をぼんやりと浮かび上がらせる。



「……!!」

碧の部屋から声のない息を吸い込む音が聞こえた。

と、同時に
窓は間もなく閉まった。


そして同時に鍵の音。







まるで監視。


一瞬のことなのに
予定通りの流れなのに
本当にストーカーではないのかと錯覚してしまう程の演技。




何度も
何回も
すごいと思わせる。


でも

少し恐怖感を覚えた。





「ねぇ照――」

「なっ!すごいだろ?」




『もう止めない?』



テンションの高い照を目の前に
その言葉は言い出せなかった…



あまり良い予感がしないのに。







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