【完】約束=願い事
5日目
金曜日
真田さんとの最終契約日
そして、夏休みの1日前
わたしたちふたりと真田さんは昨日あの後
今日の夜に待ち合わせる約束して別れた。
――夕方
センスの良い名刺を持ってカウンセリングルームを出たわたしは
迷わず自室へと向かった。
名刺を握りしめて中央階段を上る。
もうすぐ2階というところで
碧とすれ違った。
「……」
うっとおしいくらいにわたしを見る碧。
「何?」
碧はわたしに向かって何か言いたそうな顔をして
ちらりとわたしの手元を見た。
包帯が外れた右手には
まだ傷跡がありありと見て分かる。
「あんた……」
何が言いたいのか、
碧はどこかわたしのことを不安そうに、怯えた様に見る。
なんなの?
その様子が
どこかおかしくて胸騒ぎがする。
でも逆に
今、
あまり接したくないわたしは軽く受け流して早く立ち去りたかった。
「急いでんの。用がないなら行くわ」
「ちょっとっ…」
はっきりしないくせにまだ何か言おうとする碧を置いて
部屋へと戻った。
後ろ手で鍵を閉めると
ベッドに座って名刺を見下ろす。
『御木本 晃一』