わがままペット?〜あたしの飼い方。
あたしの名前を呼ぶこの声に、聞き覚えなんて欠片もない。
振り替えると、180センチはある身長に、瞳がくりくりした小顔の男が立っていた。
「……。」
怪しい。
周りにはあたしとその男が2人だけ。
怪しい!
でも…あたしの名前知ってる。
誰?
睨みをきかせてその男を見上げると、男は首をかしげて顎に手を当てた。
「あれ?ミアチャンやんなぁ?俺の事覚えてない?」
くりくりの瞳。
長身。
おだやかな関西弁。
「え〜…と…?」
さて。地元じゃないし…大学の人?…て年でもない。
でもこの瞳が…印象に…。
「あ!!」
「思い出したか?」
男があたしの顔を覗き込んだ。
めちゃくちゃカッコイイ!
ドキドキしながらあたしは答えた。
「セイチャン!?」
「当たり。お前忘れるってどうゆう事やねん。」
頭をコツンと殴られた。
「だって…前は金髪坊主でおサルサンみたいだったんだもん!久しぶり!」
「サルて…。まぁ久しぶりやんな。元気やったか?」
セイチャンこと、片山清次郎。
渋い名前だったからよく覚えてる。