わがままペット?〜あたしの飼い方。
セイチャンちに着くなり、すぐにドライヤーを引っ張り出してきて、昨日と同じようにあたしの髪を乾かしてくれる。
やっぱり気持ちいい。
ドライヤーの音がうるさくて、あたし達は髪が乾くまでの間無言になった。
さらさらのストレートになった髪を撫でながら、セイチャンが口を開いた。
「で、家で何かあったんやろ?話してみ?」
「………う………。言わない……。」
だって…パパがママぢゃない他の人と居るなんて、セイチャンはきっと悲しむ。
セイチャンはあたしの両親の仲いい姿が好きだったの、知ってるから。
「言わんのやったら、今すぐ家連れて返すで?」
「意地悪〜!」
セイチャンは言葉とは裏腹に優しい目をしてもう一度言った。
「話してみ?」
ママが亡くなってから、誰にも言わなかったあたしの悩み。
セイチャンになら、言えるかな。
あたしはゆっくり口を開いた。
「パパが……あたしを見てくれないの。あたしの事嫌いみたい。ママの事も、忘れようとしてる。」
少しづつ、クミコサンの事も話す。
あたし何言ってんの。
何年かぶりに再会した人に、こんな事話して。
ファザコンなんて笑われるかも。
でも、セイチャンは黙ってあたしの話を聞いてくれた。
「ねえ、セイチャン…永遠の愛を誓った二人なのに、片方がいなくなっちゃったら、残された方はすぐに忘れちゃうの?そんなの永遠て言えるのかな?」
少しの沈黙の後、セイチャンは悲しそうに言った。
「ミアチャン、オーナーはミアチャンを嫌いなんぢゃないよ。クミコサンて人の事は確かに必要としてるけど、玲さんの事も…まだきっと愛してる。」