わがままペット?〜あたしの飼い方。
「か、鏡見てるよ!化粧するし…。」
自分でも似てるなんて思った事……ないし。
「ほな、玲さんの顔見てないんや。」
…………確かに最近、まともに見てないかも。
「……だって…。なんか…合わせる顔がない…みたいな。」
するとセイチャンは少し笑った。
「今日、帰って見比べてみ?そっくりやで。」
セイチャンはあたしの頭を撫でた。
「帰ってって……あの家に?」
あたしはママのお墓を見つめた。
「そ。」
帰りたくない。
でも、ママの顔を見れば……何かが変わる。
そんな気がした。
あたしはただ、無言でうなずいた。
「送るわ。」
パパは仕事なはずだし、合わないと思う。
ママの顔を見るだけ。
それなのに不安がよぎるのは何でだろう…。
セイチャンはただ車を走らせた。