わがままペット?〜あたしの飼い方。
「久しぶりやなぁ。」
セイチャンはウチを懐かしそうに見た。
家はお店と繋がってるけど、直接の玄関はお店の裏にある。
パパの意見で、家族の出入りがお客さんに見えないようになってる。
「セイチャン、よくウチでご飯食べてたもんね。」
「ああ。ミアチャンの卵焼きも食べさしてもらったな。」
「……。」
あたし、料理は卵焼きしか作れません。
「この辺で車止めて待ってるから、行ってきいや。」
「うん…。」
あたしはのろのろと玄関に向かった。
鍵がかかってる。
「クミコサンもお店出てるのかな…。」
あたしはすぐにリビングの端っこにある白い棚に向かった。
ママの写真がいくつも並んである。
小さなあたしを抱いて笑ってるママ。
サプライズでママの誕生日を祝ったら泣いて喜んだママ。
髪をカットしてる真剣なママ。
ショートボブの似合うママだった。
「……似て…ないぢゃ…セイチャンの嘘つき。」
ママはあたしみたいにひねくれてない。
いつも優しい笑顔でみんなを見てた。
我慢しても、ママを思い出すと涙が出てきた。