わがままペット?〜あたしの飼い方。
「ミア!どれだけ心配したと思ってる?!」
あたしはどうしたらいいのかも分からず、何も言わないままパパを振り切って家を飛び出した。
すぐにセイチャンの車に飛び乗ると、ドクドクとうるさい心臓を押さえつけながら、落ち着いた口調で言った。
「分かったよセイチャン。」
「そか。」
セイチャンはあたしの頭を優しく撫でた。
パパはあたしを嫌いな訳じゃなかった。
日に日にママに似ていくあたしの顔を見るのが辛かったんだ。
つまり、ママをまだ愛してる。
正直、自分でも信じられないくらいママと瓜二つなんだもん。
パパだってそりゃ…複雑な気持ちになるよ。
「あたし、パパの気持ち考えもしないでだだ一人傷ついてるみたいになって…。」
ごめんパパ。
あたしは思わず涙ぐんだ。
「ミア…。」
セイチャンがあたしのほっぺに触れた瞬間、
ダンッ――
車の窓ガラスを叩く音がした。
「ミア!話を聞いてくれ!」
パパはガラス越しにあたしの目をまっすぐに見て、あたしの名前を呼んだ。
「行っておいで?」
セイチャンはあたしのほっぺにトンと触れると、車のロックを外した。
「ありがとうセイチャン。」
あたしはパパと一緒に、家の中へ戻る事になった。