わがままペット?〜あたしの飼い方。
「これで仲直りやな。ほな、俺もう帰るわ。」
セイチャンは、ニカッと微笑むと車のエンジンをかけた。
あたしは慌てて車の窓を掴んで、とにかく何か言わなくちゃ…と思いつつ。
「ありがとう!」
出たのはそのたった一言で、セイチャンは風の様に去って行ってしまった。
残されたあたし達親子は、なんだかマヌケだ。
セイチャンにはまた、改めてお礼を言いに行こう。
そう思って、その日はパパと親子水入らずで過ごしてみた。
一緒にあたしの作る夕飯を食べたり、テレビを見ながら会話をしたり…
なんだかむず痒くなる様な時間だったけど、
やっぱり幸せな時間だった。
このまま、ゆっくり二人の間にあった空白の時間を埋めていきたい。
埋めていける。
この時、あたしはそう思っていた。