僕と平安貴族の五日間


「どうしたのだ?


タケル、顔が青いぞ。」


 雪冬は…マキだ!!


 マキは、雪冬だけど、


 僕の部屋にこいつを連れていくのは正解なのか?


 いくらなんでも、僕は男だぞ?


 ちなみに一年も彼女はいない。


 あ。僕は狼ではないけど、


 けど!!


「おい、なに、唸っておるのだ?」


 僕はビクッと雪冬を見上げた。


 いつの間にか僕は携帯片手にしゃがみこんでいたらしい。


「ぼ、僕は…。」


 確かに、体はマキだけど、


 こいつは雪冬だ。


 …大丈夫。


 僕は自分に言い聞かせて、


「今晩は僕の家に泊って。」


 と、言いきった。


「おお、かたじけないな。」


 ちっともそう思ってないように雪冬は言った。


 さすが、リアル殿だ。


 きっと、フカフカの布団、


 ホカホカのごはんがあたりまえだと思っているだろう。


< 11 / 81 >

この作品をシェア

pagetop