僕と平安貴族の五日間


 すぐに殿のいる11号館までダッシュする。


 本当に僕の授業はあったが、


 代返をたのんであったので、今日はさっさと帰る。


 授業は早めに切りあがっていたらしく、


 教室のドアは開いていた。


 僕はマキを座らせた場所をみた。


 すると、すぐにマキは見つかった。


 元気のないマキ(人が多くて疲れたのだろう)の手を引き、


 僕は地下鉄の入口の近い校門を目指した。


「あれ~タケルじゃな~い?」


 でた!!化け猫、レイカ!!


「授業、じゃ、なかったの?」


 レイカが微笑みながら近づいてくる。


 ハヤトは気まずそうに隣にいた。


 僕はもう実力行使で逃げてしまおうと、


 殿の手をもう一度、つかんだ。


「あれ?」


 すると、殿はレイカに吸い寄せられるようにして


 フラフラと歩いていき、


 目に大粒の涙をためて、


 レイカを抱きしめた。


「コト!!会いたかったぞ!!


天狗などにたのんでここまで


来てしまった。」



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