僕と平安貴族の五日間

 僕は殿を何とか自分のマンションへと向かわせた。


 途中、殿が


「なにか、書くものはないか?」


 と、鼻をグズグズさせて僕にたずねた。


「え、何に使うの?」


「さきほどの歌を、コトに送る。


書いたら、渡してきてくれ。」


 僕は使い走りの童ですか?


 てか、今はメールがあるんだけど!!


 じゃなくて、レイカにそんな歌送っても、


 あいつ、理工だから、たぶんチンプンカンプンだし。


 僕はめんどくさくなって、


「僕が代筆するよ。


殿、疲れてるでしょ?」


 と、提案した。


「いや、私は自分の筆でこの悲しみを表したいのじゃ。」


 ホラ、でた、殿様。


「殿、現代ではそんなことしないんだよ。


僕が現代風にメールしておくから。」


 殿は眉間にしわを寄せて、


「私のこの悲しみをしかと伝えるのだぞ?」


 と、風呂場に向かった。


 僕はさっきの歌を思い出しながらメールを作成する。







sub,いきなりごめん。


僕の月は


雲に隠れてしまった。


いつになったら、


君に会えるんだろう。








 僕は少し、殿の気持ちを考えて、


 おセンチになった。


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