僕と平安貴族の五日間

 ティリリ・ティリ・ティリ・ティリリリリ♪


 ゴ、ゴットファーザ、愛のテーマが…


 いやな予感がプンプンする。


「おるらぁぁぁ!!


てつさんの仇ィィ!!!」


 まさか、さっきのゲロ金剛天使の子分たちか!?


 ネオンに輝くカマキリみたいなバイクが15,6台


 居酒屋の前に群がっている。


「おい、なんとか言えや、コノヤロー!!」 


 金髪の眉なしがバイクから降りてきた。


 僕は初めて特攻服、というものを生で見た。


 金髪の彼の胸元にはサラシが巻いてある。


 僕は怖くなって、殿の方を見上げた。


 殿は興味深そうにバイクやそれにまたがっている


 怖そーな男たちを見つめていた。


 殿!興味持つとこ違うって!!


「お主は悪党か?」


 殿ー!!疑問もつとこ違うって!!


 金髪君が走りながら拳を振りかざした。


「おらぁぁ!!」


 僕がキャー!って言いそうになったら、


 殿が僕の手をつかんで走り出した。


「キャー!え、何、殿ぉぉぉ!!」


 殿は素晴らしい身のこなしで殴りかかってくる


 金髪君を翻した。


 それを見て、他の怖い人たちの血が上ったらしく、


 全員がバイクから降りて


 殴りかかってきた。


 ヤバい!


 今度こそ、やられる!!


「おぅらぁぁぁぁ!!」


「ぶっころしてやる!!」


 この物語、ファンタジーなのに!!


 どちらかと言えば、コメディよりのファンタジーなのに!!


 なんでこんなアクション系にぃぃ??


 そんなケンカ映画バリの


 集団の中を殿は僕の手をつないだまま突破していく。


 すごい!!

 
 平安貴族のくせに、この身のこなし!!


 すると、殿は金髪君のものらしき、


 一番豪奢なバイクに飛び乗った。



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