僕と平安貴族の五日間
「タケル!
これはどう乗るのじゃ?
動かせ!!」
殿が僕に騒いだ。
僕は殿の後にしがみつきながら、
「え、動かす?は?」
半ば半狂乱になりながら、
僕はキーが付きっぱなしだったので、
鍵をググっとまわした。
ブオオオオ!!
爆音と爆風とともに僕らをのせたバイクは
走り出した。
「殿ぉぉー!!」
僕は殿の長いサラサラの髪を
顔面に一心に浴びながら叫んでいた。
「タケル!
よくつかまれ!!」
僕は殿につかまりながら、
後を振り返った。
「殿!!
あいつらが追ってくる!!」
当たり前だ。
あの金髪のバイクなのだから。
殿はチラりと後を向いて、
細い横道へとバイクを走らせた。
僕はいきなり右に曲がったので
頭をごわわーっと引っ張られそうになりながら、
殿の背中に女みたいにしがみついた。