僕と平安貴族の五日間

トゥルルルル♪


「あ、もしもし?」


 心なしか、ハヤトの声色がすぐれない。


「え?レイカの様子が変?


ちょっと詳しく聞かせてよ。」


 隼人がこんなにあわてているなんて。


「うん。


変なことを言う?」


 僕はなんだか見えない何かが動き始めている、


 そんな気がした。


「で?


そっか、マキと一緒に顔を見に行っても


大丈夫かな?


うん、わかった。


じゃ、行くから。」



 僕はマキ、いや殿とレイカを合わせる


 アポをとって、電話をとった。


 レイカは昨日から様子がおかしいらしい。


 昨日、というよりマキと接触した後から。


 急に念仏を唱えたり、


 泣きだしたり、


 ぼんやりしているらしい。


 でも、はっと、いつものレイカに戻るそうだ。


 僕は部屋に戻って殿に告げた。


「これから、レイカに会いに行くよ。」


 殿が顔を上げた。


「レイカのようすがおかしいらしい。


もしかしたら、


レイカの魂が殿の魂にふれて、


なんらかの反応を起こしてるんじゃないかな。」


 僕は思っていたことを言ってみた。


「なるほど…。」


 殿は考え込んでいる。


「とにかく、


レイカに会ってみよう!」


 僕らは家を飛び出した。

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