僕と平安貴族の五日間
マドンナ、というのはウチの大学の付属短大で
去年ミスに輝いた超美女、である。
彼女はあまりこのような場には姿を見せない、と有名なのだ。
「4:4だから♪
いやー、ほんっとお前らラッキーだよ。
マドンナがくるし。
長沢と工藤が急に来れなくなってさー。」
工藤ってのは聞いたことがある。
ウチの大学でも結構目立ってる男だ。
でも、長沢は…誰だかは知らない。
「ところで、そこの着物男子は?」
浅岡が殿の方を見た。
浅岡も殿も180越えの長身だ。
すごい威圧感だ。
「あ、あぁ、ま、真木 ゆき。」
とっさに出てきたヘンテコな名前に僕はハッとしたが、
案の定、殿も苦い顔をしていた。
マキ ユキ ものすごくへんだ。
「へぇ!カッコイイ奴は名前もカッコイイんだな。」
浅岡の人の良さそうな笑顔を向けられて、
殿も気を取り直したのか、
「ほう、そうか、そなたの名は?」
と、聞き返した。
殿ぉぉ、なんて上から目線だよー!!
浅岡は別に気にしてないようで、
「俺、浅岡 春樹。」
と、またへらりと笑った。
「ほら、マドンナがお待ちかねだ。
早くいくぞ。」
浅岡に促されて、
僕たちは奥の個室に入って行った。