僕と平安貴族の五日間

 ちょうどヤエちゃんを運ぶためのタクシーが来たとき、


 入店から2時間経っていたので僕らはその居酒屋を出ることにした。


 タクシーに乗るヤエちゃんに


「大丈夫?でも、私ヤエの家わからないわ」


 とリヤドロの人形のような眉を下げて言うマドンナ唯ちゃん。


 すると、小動物系のかなちゃんが、


「私、近いから送っていくよ!」


 と言った。


「え?二次会来ないの?」

 と浅岡が聞くと、


「うん。ヤエちゃん心配だし。


 でも、春樹くんとはもっといたかったな。


 アド・・・」


 と、かなちゃんが言い終わらないうちに、浅岡は、


「俺、赤外線送るから。


 家、無事着いたらメールしろよ?」


 っと、首を背の低いかなちゃんに合わせて言った。


 そんなカッコイイ一連の動きを僕はみていた。


 しかもみさとちゃんが会計している間の出来事だ。
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