僕と平安貴族の五日間
入ってみるとそこのカップル向けの宿泊施設は平安朝というより、
江戸時代の大奥をイメージにしているらしい。
すると、奥の方から楽しそうな男女のトークが聞こえた。
どうやら今満室らしくちょっとした個室で待ち時間、ということらしい。
僕らはアイコンタクトで殿たちがいるだろう個室の隣に入った。
石田と僕は殿たちの方の壁にひっついた。
「ねー、殿。
今晩は殿も一緒に泊まっていこうよ。」
マドンナ!
「しかし、タケルに戻ると言ってしまったのだ。」
と、殿!
意外と律儀!!
しかし僕らは二人の会話を盗み聞きするのに集中しすぎてしまい、
個室のカーテンを閉めるのを忘れていた。
「キャッ!」
女の子の悲鳴の二人して振り返る。
「うわ!ホモありかよ」
ハズかしさと衝撃でてんぱる僕をおいて、
石田は真顔でサッとカーテンを閉めた。
僕は恐ろしくなった。
もしかして、となりの部屋にいくとか!?
そもそも、僕らはどうしたいんだ。
殿は、殿はマドンナと一夜を過ごしても・・・
僕には支障はない。
あ、でも琴菊姫がいるか。
あ、朝になったら、殿はマキに戻っちゃうんだった!!
マズイ!
何としても僕は二人を止めなければ!
そういう思考をめぐらせている間に二人はあいた部屋へと足を進めた。