僕と平安貴族の五日間

 三井寺、、、


 別名、園城寺、琵琶湖のほとりにある。


「って、び、琵琶湖ー?」


 なぜ?琵琶湖?


「なに、琵琶までどのくらいだ?


どうせ何か都合のよい乗り物があるのだろう?」


 マキはにこやかに言った。


「いや、琵琶湖ってここからめちゃくちゃ遠いよ!


電車で何時間もかかる!」


 殿には「電車で何時間もかかる」がどのくらい遠いのかわからないらしい。


「はて、私は三井で天狗に飛ばされたのだが・・・


てっきり琵琶の近くかと。」


 たしかに。


 僕がみたことのあるSF映画だって時代は変わっても


 場所は変わってなかったはずだ。


 そう言われてみればおかしいところがたくさんある。


「殿は、京都に住んでるんだよね?」


「ああ、京の都ぞ」


 おかしい。


 平安時代は京都が日本の首都だ。


 むしろ東京は江戸時代になってからで・・・


 当時の関東には京からみれば得体のしれない場所だったはずだ。


 京から離れた東京に飛ばされた殿。


 東京で琴菊姫の魂に出会えた殿。


「なんで、東京に飛ばされたんだ?


てか、殿、なんで京に住んでるのに


琵琶湖の近くの寺なんかに?」


 と、僕は聞いた。


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