僕と平安貴族の五日間
とにかく、僕は琵琶湖のちかくにあるという三井寺、
現在では園城寺とよばれている寺にむかって動き出した。
平安時代では、山といえば比叡山、
寺と言えば園城寺、だったらしい。
僕らは、熱い闘志を胸に、新宿駅の緑の窓口に立っていた。
バックパックには学校に行く用意しか入ってないが、
今の僕にはお泊りセットなんかより心強いものが入っている気がした。
それから僕たちはとりあえず、新幹線にのって、
マキの形した殿とこれからのことについて話し合った。
「今、僕たちか居るのは、ここ、東京なんだけど、
殿はここで天狗に会って現代に送られたんだよね?」
僕はケータイで地図を出しながら言った。
「ほう、こんな地形をしているのか。
なに、こんなに私は遠いところに来てしまったのか。」
殿はびっくりしたみたいだ。
「でも大丈夫3時間もしないうちに着いちゃうから。」
「千年後にはあんなに荒れた大地まで人が住むようになるのだな。」
そうだね、と言いながら、僕は白い紙とペンをとりだした。