僕と平安貴族の五日間

 やっぱり、何か関係しているんだ。


「その、夜の状態を教えてくれないかな、」


 僕がきくと、ハヤトは怪しがった。


「マキはどうなんだよ。」


 そうくるか!


「マキは、マキとはあの後マンションでて別れたからわからないな。」


 僕はとっさに嘘をついた。


 ごめん、と心の中でささやく。


「実は、マキにも怒鳴って悪かったなと思って、


謝りたいから、携帯にメールしたり、電話したんだけど、


返事もないし、通じないんだ。」


 あ、マキのカバンは僕の部屋に置きっぱなしだ。


「そうなんだ、僕も学校でみかけたら聞いてみるよ。


それで、ハヤトは今日も泊まりがけで看てるわけ?」


「ああ、正直、怖いよ。


このままレイカがどこか遠くに行ってしまいそうで。


急に何か祈ったりしてるし。


午後5時か、もうそろそろ始まるはずだ。」


 何が?


 電話機が動いている音がした。


 ハヤトは部屋を移動しているらしい。


「レイカ?


大丈夫?今、タケルから電話来たんだけど、話す?」


 レイカと話せるらしい。


「------」


 なにか女の声で唱えているのが聞こえる。


「レイカ!大丈夫?レイカ!!」


 ハヤトの声も聞こえた。


「ごめ、あとでかけなおす!」


 切羽詰まったハヤトの声がした。


 ヤバい、こっちとしては琴菊姫に近づいたレイカに直接話して何か得たかったのに。


 しかし、ボフッと音がしただけだ。


 どうやらボタンを押し間違えているだけらしい。


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