嫌いになるまで傍にいて
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「もぉ弘樹ってばぁ」
甘ったるい女の子の声。
その隣には湯川の姿。
いつもと変わらない場面。
あたしは気にするわけでもなく、その前を通り過ぎる。
「よぉ、椎名〜」
女の子が隣にいるにも関わらず、あたしに声をかける湯川。
……あたし睨まれてんですけど。
心の中でため息を尽きながら「おはよ」とだけ答え通りすぎた。
今でこそ、こんな感じのあたし達だけど
さすがに最初はびっくりした。
あの日依頼、湯川とはもう話す事もないだろうと思っていた。
なのに
アイツは何にもなかったかのようにひょっこり現れて
いかにも“友達”な会話をしてくる。