嫌いになるまで傍にいて
嫌いじゃない
『俺、オマエのそーゆーとこ嫌いじゃない』
初めてそう言われたのはいつだったっけ…
それからも、湯川は度々あたしの事を“嫌いじゃない”って言ってた。
“好き”
じゃなくて
“嫌いじゃない”
まぁ…あたしが後腐れない女だったからなのかもしれない。
アイツの周りには嫉妬心むき出しの女の子が多いから…(笑)
湯川 弘樹と言う男は
背が高く、顔もいいからかよくモテるらしい。
当然、女友達が多くて
いつも誰かしら女の子が一緒にいる。
特定の彼女がいた事はなく、噂になった女の子は数知れず……
要するに、“質が悪い”
これがあたしの知ってる事。
……全部、唯香の受け売りなんだけどね。
あたしと湯川のあの日の事は誰も知らない。
唯香に言おうものならどうなる事か……
あたしは苦笑いしながら唯香の話を聞いていた。