嫌いになるまで傍にいて
「でっけー家」
俺はキョロキョロと家の中を見回す。
………俺、何してんだ?
結局、椎名の言葉に甘えて
家に上がり込んで。
椎名にしたら「あまりにも寒そうだから」って
感じなんだろうけど。
どうやら両親もいないらしく
大きな家に二人きり。
俺達は無言で向かい合ったソファに座っていた。
また
会話はなく。
ただ訳のわからない深夜のニュースだけが俺達の間をすり抜けていた。
さっき聞いた話、椎名は普段からこの家でほぼ一人で過ごしているらしい。
前から両親が社長だって事は知ってたし、“金持ち”って羨む人も多かった。