嫌いになるまで傍にいて
椎名もモテるだろうに…
“男”の気配は一切なく。
……いたら困るけど。
気付けばもうすっかり外は暗くて。
「…そろそろ帰るな。
ごちそーさん」
俺はコーラのペットボトルをひらひらさせる。
あれ…?
そう言えば…
「椎名ん家、いっつもコーラあるけど…
椎名は飲まねぇよな…?」
見た事がない。
「えっ…?
そうだっけ?」
少し慌てたように思えたけど…
駄目だ。
勝手な期待はしない。
もしかしたら俺の為……?なんて……
勘違いだったら馬鹿じゃん…
「じゃあな」
「うん。気をつけてね」
椎名は最後にいつも“気をつけてね”と言う。
それがなんだか嬉しかった。