tone
「………歌音がいなくなる1週間前に、


大橋さんの所に行ったはずの歌音が泣きながら帰ってきた。」

大橋さん………?

じゃああの言葉は……!!


「その時に歌音は泣きじゃくりながらこう泣き叫んだ。


“あたしの歌声はみんなの為にあるのに!!


お金儲けの為にある訳じゃないの!!”


その時に感じ取った。

きっと大橋さんの話を盗み聞きしてショックを受けたんだろうって。」


「………当たり前でしょ……。」


〈HAZUKIの歌声は金になる〉

そんな言い方をされるほど、

あたしは歌声しか必要とされない人間だったの?



「その時に作った歌があるよ。」

「………え?」

歌が……?

奏ちゃんは鞄から一枚のCDを取り出した。













「…………mean?」

「カタカナ読みするとミーン。

意味とか意地悪みたいな意味がこもってる。

作詞はもちろん歌音。

曲は僕が作った。

昔から作った曲だからtwinkle starの次に発売される曲だったんだ。」


mean……。


あたしは恐る恐る指を伸ばしていく。


綺麗な筆記体で書かれたmeanの文字。

……これが新たな記憶のkey。

そう思ってしまうとCDの重みが増した気がした。


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