tone
「歌音、あんた正気??」

信じられない風に聞いてくる李亜。

そりゃそうだよね。

今さっき、大橋さんの本性を知ったばっかなのに。

でもね??だからなの。


「あたしの歌声はお金儲けの為にあるんじゃないって証明したいの。」

歌は人を救う。

あたしは歌の可能性を信じてる。

「でもそれじゃお前の身体が持たねえじゃねえか!?

現に俺と李亜の前で歌った時に……。」

「……それでもやりたいのっ!!」

心のあたしが引き裂かれる程の苦しみ。

現在のあたしにそれを受け止めきれる心はないわ。

でもやらなきゃ。

「あたしが歌わなきゃ……何も始まらないでしょ??」


toneを奏でる声がなきゃ、


RYTHEMを刻むドラムがなきゃ、


melodyを鳴らすキーボードがなきゃ、


baseを弾くギターがなきゃ、















「1つでも足りないからあたし達は今まで奏でられなかったのでしょ??」



歌声を失った、


birdだよ、あたし達は。


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