tone
「……昔のあたしが何をしたかなんて、考えても頭が痛くなるだけ。」

「………うん。」

「都合良く、思い出せず。
あたし、思い出す度に辛い思いしてる。」

「……うん…。」

「でも、あたしはきっとtoneが好き♪」



「…うん……!!」


「想いがあるから想い出すんでしょ??

まだ皆があんな笑顔でいれるのは、心のどこかでまだ忘れてない証拠でしょ??

あたしね、記憶を忘れた後も歌う事が大好きだった。」


空に向けて歌った歌声は、

何よりも透明で、清々しかった。

「だから、あたしは歌いたいの。

地位も名誉もお金もいらない。


もちろん、みんなにも聞いてもらいたい。

だけどあの四人でtoneが出来たら

たった1人、想いが届いたら




あたしはそれでいいの!!」

有名でも、

マイナーでも、

アマチュアでも、

あたしはただ

歌が歌いたかった。

それだけが、

あたしの願いだった。


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